香川シームレス株式会社 BLOG

ストッキング工場のブログ@香川シームレス㈱

女性も知らないストッキングの専門的な事から地域や社内の話題まで (ストッキング、タイツ、着圧ソックス、弾性ストッキング、製造、工場など)

看護師さんを応援する為の着圧ソックスを開発しました! その③

現在の情勢下、激務で毎日クタクタになる立ち仕事の方をむくみの軽減で足元から応援

看護師さん応援着圧ソックス ③

 

看護師さんを中心に255名に着圧ソックスのアンケートを行うと、

勤務中の着圧ソックスの着用率は13%と予想以上に低い結果となりました。

そこで、看護師さんにもっと着圧ソックスを履いていただけるような

看護師さんの為の「着圧ソックス」開発プロジェクトとスタートしました。

 

前回までの詳細は👇

その①

 

その②


 

 

「1秒で履ける‼」

「現在履いていない方にも履いてもらえる」

をコンセプトに「着圧ソックス」の開発をスタートしました。

改善項目

・肌に優しい

・履きやすい

・食込まない(膝裏、足首)

・靴の中で滑らない

3.目指す商品は、思考錯誤の繰り返し

<試作品1回目>

肌に優しい天然繊維として綿、和紙を選定。和紙の糸を全体に使用した事により固くゴワゴワした風合いになり、「1秒で履ける」には程遠い

<試作品2回目>

和紙の糸の良さは足底のみに活かし、履きやすさを出すために足首部分を3パターン作成。

・履きやすくはなったが、編み方を変えることで見た目が悪くなる

 

<試作品3回目>

着圧調整で5パターンを作成。ベストな着圧設計を設定

 

<試作品4回目>

ようやくモニタリング用の試作品が完成。

会社がいつもお世話になっている施設の方20名に試着を依頼。

試着の結果は、

常に着用している方には着圧が少し弱く、

常に履いていない、着用した事が無かった人には高評価の物が出来ました。

 

<試作品5回目>

少しでも多くの方に満足していただけるように再度着圧数値を修正。

 

この着圧ソックスのこだわりポイント

01)長時間履いてもくい込みにくい「着圧ソックス」

着圧靴下特有の足口の締め付けから解放される様に、履き口は極太ゴム仕様

 

 

 

02)1秒で履きやすく、脱ぎやすい「着圧ソックス」

履きづらい一番の原因は足首。

足首の着圧数値・位置を調整して

履きやすく、脱ぎやすい着圧ソックスとなりました。

 

⇓⇓⇓ 楽着ナースソックス1秒で履ける動画です。瞬き厳禁です。 ⇓⇓⇓

⇓⇓⇓ 通常の着圧ソックス(自社製品)の場合。瞬き2回以上できます。 ⇓⇓⇓

 

03)肌への負担を軽減

着圧ソックスでの肌トラブルの原因の1つに化学繊維を使用している事があげられます。

着圧パワーを出すためにDCYという糸を使いますが、通常はポリエステルとポリウレタンで作られたDCYを使います。そうすると、肌にポリエステルが接してしまい肌トラブルの原因になります。

今回は、ポリエステルの代わりに綿を使用してDCYを作りました。

その為、ふくらはぎ部分で肌にあたる大部分が綿素材となります。

◎ふくらはぎ部の編み組織 拡大写真

04)耐久性がある

かかと、つま先を和紙にする事で通常の綿靴下よりも耐久性がUP

かかとに和紙を使用

 

 

 

つま先にも和紙を使用

 

 

 

 

近年、和紙の糸で作ったソックスは注目されています。和紙の糸の靴下は、独特のシャリ感のある肌触りが特徴ですが、綿素材と比べると優れている点が多く、スポーツ用ソックスなどでも採用されています。

今回の靴下では、和紙の特性を発揮できる様につま先、かかと、足底に使用しています。

【和紙の糸について】

今回の和紙の糸は和紙とポリエステルの混紡糸です。

混紡されている和紙はエクアドル農園で栽培された農薬や化学肥料を使用しない環境配慮型資源のアバカと、カナダ内陸の選定された針葉樹をブレンドしております。

ポリエステルは、リサイクルEを使用しております。和紙、リサイクルE共にエコ・サステナブル素材です

 

 

 

 

 

05)着圧コントロールむくみ軽減

 

履きやすくするための着圧コントロールを改良しております。

足首は少し緩く感じますが、むくみの軽減にはふくらはぎが重要で重点的に圧迫しています。

06)食い込み防止

一般的な着圧ソックスは足首部分の食い込みが見られますが、今回の着圧ソックスは足首部分の特殊設計により、食い込みを緩和しました

07)かかと周りをサポート

かかと周りをリブ編みにして伸びを制御する事によりかかと周りをサポートします。また、伸びを制御する事によってかかとをすっぽりを入れる事が出来履きやすい設計となっております。

 

 

08)滑りにくい

足底部分にも和紙糸を採用し滑りづらい設計にしています。

 

 

足底和紙糸 滑りのテスト

 

通常のナイロン靴下 滑りのテスト

 

09)抗菌防臭(素材と加工のダブル対応)

全体に抗菌防臭ポリウレタンを使用
※医療機器の効果の範囲ではありません。
※素材についての説明です。製品そのものでは試験を実施しておりません

■臭気成分(アンモニアの減少率99%以上のポリウレタン弾性繊維イクラ®ファイバーを使用。

 


イクラ®ファイバー」は、東レ・オペロンテックス㈱がThe LYCRA Companyからのライセンスを受け、日本で製造・販売するポリウレタン弾性繊維で、全世界で60年を超える実績があります。

この靴下に使用されている「ライクラ®T-327Cファイバー」は通常のタイプに比べ消臭機能が強化されており、原糸だけの消臭性能試験では汗臭に含まれるアンモニア成分が99%以上減少します。

加齢臭(ノネナール)にも効果

※医療機器の効果の範囲ではありません。

さらに今回使用しているライクラ®T-327Cファイバーには、加齢臭を構成する臭気成分ノネナールにも消臭機能があります。

 

 

 

■抗菌防臭加工+ライクラ®ファイバー のダブルで消臭効果

綿、ナイロン、分類外繊維(和紙)、ポリエステル、ポリウレタンを使用しています。上記のライクラ®ファイバーは抗菌防臭効果がありますが、その他の素材は抗菌防臭効果が無い為、通常は生地にすると消臭率が下がってしまいます。

しかし、今回の開発商品は、染色工程で抗菌防臭加工を行いました。ライクラ®ファイバーを使用するだけでもニオイに対しては十分な効果がありますが、綿、ナイロン、分類外繊維(和紙)、ポリエステル部分にもニオイ対策を追加して、ダブルでニオイ対策を行っています。
SEKマークの認証も取得しており、抗菌防臭効果には自信があります。

染色工程

 

■SEKマークとは?

一般社団法人繊維評価技術協議会(JTETC)の認証制度です。S:清潔 E:衛生 K:快適が定義となっています。SEKマークは効果、耐久性、安全性について保証するものです。SEKマークを取得するためには、公的機関で様々な試験をクリアする必要があります。SEKマークのある製品はJISマークと同様に、信頼性のある製品となります。単に「制菌」「抗菌」と表示してあるだけの製品も多いと思いますが、SEKマークの認証を受けている製品の方が信頼性が高いという事になります。

 

その④に続く。